ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった問題で、ドラマを制作・放送した日本テレビが5月末に調査報告書を公表したのに続き、原作漫画を刊行した小学館も3日に調査報告書を公表した。
両社の調査結果を比べると、原作の改変をめぐって、当初から原作者とドラマ制作側との認識の違いがあったことが浮き彫りになった。歯車がかみ合わないまま撮影が続いた背景には原作モノに頼りがちなメディアの事情がある。
小学館の報告書によると、同社は日テレからドラマ化の相談を受けた当初から「原作に忠実」な脚本家でないと難しいと伝えていた。その後、原作にはないオリジナルとなる第9、10話に関して、芦原さんによる「脚本もしくは(構成を記した)詳細プロット」を提案したいと小学館が申し出、日テレは承諾していた。この時点でドラマ化の合意が成立したと認定した。脚本家は調査委員会に対し、「原作を大事に」という小学館側の意向を日テレから聞かされていないと回答していた。
これに対し日テレの調査では、日テレ側が「プロットで提出してほしい」と対応し、オリジナル部分も脚本家が執筆する前提で進んでいた。
小学館の報告書は、「日テレ側が原作者の意向を代弁した小学館の依頼を素直に受け入れなかったことが第一の問題である」と指摘した。
一方で、報告書は小学館側の非にも言及した。メールと口頭で映像化は合意されたものの、その条件にあいまいな要素があったとした。
ドラマ制作側の背景にあると…